宮じいの作物カタログ「人参芋(にんじんいも)」

今よみがえる幻の  ” ヴィンテージ野菜 “

渥美半島の昔を今に伝える伝統のサツマイモ。
「地域の宝を残したい」脈々と続くこだわり農家の希少品種。美しいオレンジ色の果肉は、ねかせ熟成によってひときわ甘く濃密にとろけるようなしっとり感が病みつきになる、昔なつかしの逸品です。
本当のヴィンテージ野菜の美味しさを是非ご賞味ください。

『人参じゃないぞ、とびきり上等なサツマイモだよ!
どえらい甘くてねっとりした芋だから、干し芋にするとこれがもうムチャクチャうまい!寒〜い冬時の百姓の内臓にピッタリだし、
晴れが多くて北風が強いこの辺の冬の気候にマッチしたんだろうな。芋切り(干し芋)は昔から渥美半島の名産品だったよ!』

にんじん芋は、収量が少なく気難しいから農家泣かせな芋として有名。ハッキリ言って儲かる作物じゃないよ。でも、こんなにうまい地域の宝を絶やしたくない。小さい頃のあの思い出の味をなんとか次の世代に伝えたいんだ!
サツマイモは肥えた土が苦手。”ツルボケ”してしまうとこんなに細い芋に・・・(写真左)。大きすぎると”す”が入って不味くなる。う〜ん、難しい・・・
上手くできたかと思えば、切ってみるとこんな事も(写真右)。左の白いのは味・香り・食感全てにおいてイマイチの”ハズレ芋”。出荷時の選別は慎重に作業していますが、にんじん芋の味わいには個人差がある事を、どうぞご理解ください。

春になると芽が出た種芋を植え、シーズンが始まる(写真左)。伸びたツルをカットして苗を揃えます(写真中)。
茎から葉が出る”節”の部分(写真右)。ここから新しい根や芽が生えてくる。縦植えの場合、最低でも地中に2節・地上に2節は欲しいところ。

ひとつひとつ手植えでコツコツと植えるよ。大きな畑をやっつけた時の達成感は最高!(写真左)恵の雨の直前に植えられれば◎。ここからサツマイモの逞しさは驚くばかり(写真中)。いと珍しきサツマイモの花はハート型の葉っぱも可愛らしい!(写真右)

『この素晴らしい大地の恵みを最大限に美味しくいただくには、忘れちゃいかん一手間があるぞ。
それは、収穫してから”ねかす”こと。
ウチのにんじん芋は10月に掘って、年明けまでハウスで2ヶ月以上ねかしてから解禁だ。だからこんなに甘くなるんだよ!』

サツマイモは人が食べる作物の中でもトップクラスのエネルギー、すなわちデンプンを蓄える非常に優れた作物。収穫した芋をねかせ熟成させることで、酵素がデンプンを分解して糖分に変える”糖化”という現象が起こるという。これがサツマイモの味わいを飛躍的に甘くするのだ。
貯蔵中はジアスターゼという糖化酵素が働き、寒くなることでサツマイモは甘く熟成する。調理加熱中にもサツマイモの中のβアミラーゼという糖化酵素によってデンプンの”糖化”が起こる。長時間じっくり加熱することでアミラーゼの働く時間が長くなり、サツマイモの美味しさは極限まで引き出される。
βアミラーゼは60〜70度程度で活発に活動するが、生のデンプンは分解できない。しかし、65度〜75度の条件で”糊化”したデンプンなら分解できる。つまりこうした科学的根拠をまとめると、サツマイモの甘みを最も引き出す加熱法は『65〜70度で長時間加熱すること』となるかもしれない。

【サツマイモの保存について】
ビニールは呼吸ができず腐り出すのでNG。寒さにも弱いので冷蔵庫も避けてください。適温は13〜15度といわれる。ある程度保温できる新聞などで包みダンボール等に入れ、日の当たらない室内に保管するとよい。

『まだこの辺りに豊川用水がなかった頃、芋や麦ばかり育てとった。
採れた米はみな売ってお金に換え、自分たちは芋を食べて冬を乗り切ったよ。でも今思い出すと、みんな元気よかったな〜!
あれは芋のパワーのお陰だったのかもしれんのん。』

どんな荒野でも逞しく育ち、人類史上幾多の食糧難を救ったNASAも注目の救荒作物。宇宙ステーションの食糧として地球外での栽培も!懐かしくて新しい、素晴らしい作物。子供たちにはこういう”おやつ”を食べて欲しいなぁと思う。体に悪い添加物もないから芋はいいぞ!あんなに甘くて美味しいのに、どえらい健康にいいんだわ。豊富な食物繊維&腸の働きを助ける白い液ヤラピンは整腸効果抜群のデトックスコンビ!βカロチン・ビタミンE・ビタミンCはミカン並みでしかも加熱しても壊れない構造。その他にもカリウム・カルシウム・リン・鉄分・ビタミンB1B2が含まれている。